2005/09/10

キトゥン~

「キトゥン~!」
そう言われて僕の横に座っていた男がニタニタと男は笑った。
女はニコニコとしながら男の腕を掴む。
「おお、元気だったか~」
男はそう言ってさらにニタニタと笑う。
「いや、こいつねぇ、甘えたで」
男はにやけた顔で僕にそう言った。

タニヤあたりでよくあるオヤジさま達の光景である。

「キトゥン」という言葉、「恋しい」という意味だ。
「確かに恋人に会えなくて恋しい」にも使う。
が、タイ人は「キトゥン」を連発する。
親に会えなくて「キトゥン」、兄弟に会えなくて「キトゥン」、友達に会えなくて「キトゥン」。
恋しいの恋しいは人恋しいの意味や懐かしいといった意味も含んでいる。
というより、そっちの方がよく使う。

例えば、若い女性が仕事が早く終わって部屋に帰って来ると、まだルームシェアしている同居人が帰ってきていない。そこで同居人に電話して「キトゥン~!」である。
つまりそれほど大きな意味を持たないケースが多い。
恋人に会えない時は「私は可哀想」と言う女性が多いようで、「キトゥン」はどちらかと言えば、もっと軽い感じみたいだ。
「田舎が恋しい」とか、「田舎の母親が恋しい」というのはどちらかと言えば懐かしいとか慕うといった感じの様な気がする。

で、上のタニヤの例である。
決して恋人が来て「恋しかったわ」と言っている訳ではない。
日本の飲み屋で「あら、ターさんお久しぶり!」と言われるのと一緒である。
が、言葉の魔力だろうか。タイ語で「キトゥン~!」と言われると、なんかその気になってしまうのだろう。
男って奴はよ~!って、俺も男か。

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